新年のご挨拶

皆様、遅ればせながらあけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様はどのような年末年始を過ごされたでしょうか?私は年始早々東京にいく機会があったのですが、思いがけず「Uターンラッシュ」に巻き込まれることになり、新幹線立ち乗りを初めて経験しました。やはり、年末年始の大移動をなめてはいけませんね。

社会的には、昨年末にさる大物元経済人(刑事被告人)の「国外逃亡劇」が大きな話題になりました。この点に関し、日本の刑事司法制度について、「人質司法」である等々いろいろと批判があり、論じられているところです。私自身、このような「大物被告人」の刑事弁護を担当するような機会はこれまでもなく、またこれからもないでしょうが、我が国の刑事司法制度や捜査の在り方に「何ら問題はなし」とすることは出来ないとは思います。

一方で、だからといって、この被告人のとった行動が肯定されるわけではないと考えます。当該被告人は、それ自体が本件において焦点となっている財力、ネットワーク等を最大限利活用して、国外に逃亡しました。彼の立場からすれば「当然の行動」かもしれませんが、私はここにも現代の「格差社会」を感じるところです。煎じ詰めれば、彼は日本の刑事司法の「不当性」やその背後にあると彼が主張する「策謀」を海外に存分に訴え、かつ海外に逃亡することができた、ある種「恵まれた」人間だということです。

今後、保釈中の被告人の出頭をどのように担保するか、保釈条件の問題(保釈を広く認めるならば、一方でGPS装着等を義務付けるべきか)等、彼がとった行動の余波はまだまだ残るとおもいます。もっというと、今年、日本でオリンピックを開催するにあたり、出入国管理等の「公安」的な観点に関しても、大きな影響をもたらしていくかもしれません。

さて、うってかわって、地元和歌山市の話をいたしますと、ここ最近、水道管老朽化(漏水)に対応する修繕工事による3日間の大規模断水が大きな話題になっていました。結果、断水という事態は回避されましたが、災害発生時にどのようなことになるかを考えさせられる出来事でした。また、水道に限らず、災害が発生しなくてもインフラの老朽化はここ10年来指摘されていることでもあり、ついにそれが現実の問題になってきたことを実感いたします。今後人口が減少していく日本で、なにをどのように維持していくのか、費用はどれぐらいかかるのかが切実な問題になってくると思われます。

新年早々硬い、あるいは暗い話題で恐縮ですが、冒頭の東京行きは長年の付き合いがある友人の結婚祝いのためであり、これは春から景気のいい話でありました。なにはともあれ、当事務所も開設以来、なんとか1年、いや、あっという間に1年が経ちました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。